一昨日の8月27日「寅さんの日」は、せっかくなので「男はつらいよ」をDVDで観ました。
TSUTAYAで一本、借りてきて観たのですが、まず、どれを選ぶかというところで軽く悩みました。
「男はつらいよ」は48本もある訳ですから、正直、大したことのないのもあります。
というよりも、さほど魅力的でないマドンナの回というのは、わざわざレンタルしてきて観ようとはなかなか思いません。
私は既に48本すべてを観ている訳ですから、どれを選んでも「また観る」ことになるのですが、今回は選ぶ基準として「まだ二回以上、観てないヤツ」に限定しました。これで楽に半分以上が予選落ちします。
そして私が選んだのは1987年夏公開の第38作、「男はつらいよ 知床慕情」です。
「男はつらいよ」全48作中、三度に渡ってマドンナを務めたのは浅丘ルリ子と竹下景子の二人だけです。
そして浅丘ルリ子は三本とも「松岡リリー」という単一キャラクターを演じていますが、竹下景子は三本とも全く違う人物を演じており、三本ともシリーズ屈指の名作です。
ハードコアな寅さんファンにシリーズ中のベストを投票させたら恐らく三本ともベスト10に入ることでしょう。
そして「竹下景子の三本」のうち二本で「若い竹下景子の精神的支えとなるオバさん」として淡路恵子が出演しています。
「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」でのウィーン在住の日本人、淡路恵子は「こんなマダムがいるかよ? いたとして、こんなマダムが鮭茶漬けをこしらえるもんかね?」という現実離れした貴婦人ぶりと、竹下景子の恋人の「ヘルマン」の発音のわざとらしさが私はあまり好きではありません。
しかし「男はつらいよ 知床慕情」はキャスト全員がズバっとハマって全く無理がなく、スナックのママの淡路恵子も、本当にいるとこにはいそうなリアリティーを持って存在感を放っていました。
私はこの作品は二十代中盤にフィラデルフィア初の日系レンタルビデオ屋で借りて観ました。
ここは貸本屋も兼ねており日本食レストランの二階にあったのですが、アメリカならではの営業許可のごたごたで、あっという間に消えて無くなってしまいました。
この作品の見どころ、というよりも、「この作品の全てのベクトルはこのシーンに向けられている」と言っても過言ではないクライマックスが頑固で偏屈で無愛想な一人ヤモメの老獣医、三船敏郎先生の決意の告白です。
20代で観た時も滅茶苦茶、感動しましたが、40代になってまた観て感動してみると、あのクライマックスはトシ食って見た方が味わいが増すのではないかと思いました。
私が長いこと働いていたフィラデルフィアの日本食レストランには一時期、映画監督志望の日本人留学生アルバイトがいました。
彼は山田洋次監督を敬愛しており、嫌いな監督も私と同じでした。まあ、趣味が合うというヤツです。
彼を飲みに連れてった時に「男はつらいよカルトクイズ」をツマミに飲んだのですが、彼が出題した最初の問題を私は今でも憶えています。
「知床慕情で淡路恵子が雇われママをしているスナックの名前は?」
「ああ、なかなかセンスのいい問題だねえ。 はまなす」
「正解です」
「まあ、このぐれえはよ(笑)」

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