少し前に洋画の邦題にイチャモンをつけまくりましたが、今回は邦画の英題について書きます。
ロクでもない愚の骨頂に満ち満ちた洋画の邦題に比べれば、邦画の英題はイチャモンつけ以外にも書くべきことは色々とあります。
まず、邦画の英題には大きく分けて5つのパターンがあります。
1. 邦題の直訳の英語
2. 固有名詞などを尊重し、日本語発音をアルファベット表記
3. 固有名詞を日本語発音のアルファベット表記し、他は英訳/意訳
4. 英訳ではなく作品内容に沿ったオリジナルの英題
5. 元々、英語ないしは片仮名表記の英語タイトルをアルファベット表記の英題
例を挙げると、
1. 「七人の侍」→ "The Seven Samurai"
「仁義なき戦い」→ "Battles Without Honor And Humanity"
「お葬式」→ "The Funeral"
「顔」→ "Face"
「風の谷のナウシカ」→ "Nausicaa of the Valley of the Wind"
2. 「座頭市」→ "Zatoichi"
「用心棒」→ "Yojimbo"
「鉄道員」→ "Poppoya"
「タンポポ」→ "Tampopo"
「羅生門」→ "Rashomon"
3. 「となりのトトロ」→ "My Neighbor Totoro"
「阿修羅のごとく」→ "Like Asura"
「ミンボーの女」→ "Minbo: The Gentle Art of Japanese Extortion"
「もののけ姫」→ "Princess Mononoke"
「楢山節考」 → "Ballad of Narayama"
4. 「蒲田行進曲」→ "Fall Guy"
「ラヂオの時間」→ "Wecome Back, Mr. McDonald"
「雪華葬刺し」→ "Irezumi"
「秋刀魚の味」→ "An Autumn Afternoon"
「無法松の一生」→ "Rickshaw Man"
5. 「アドレナリン・ドライブ」→ "Adrenaline Drive"
「スウィング・ガールズ」→ "Swing Girls"
「Shall we ダンス?」→ "Shall We Dance?"
「BROTHER」→ "Brother"
「バトル・ロワイヤル」→ "Battle Royale"
一番、多いのは(1)のパターンでしょう。上記5本以外にかなりの本数、思いつきます。
(2)のパターンは黒澤明を筆頭とした巨匠の作品に多く見られます。そしてタイトルが短ければ(2)で、長ければ(3)になります。
問題なのは(4)で、かなり好みが分かれます。
「天国と地獄」の"High And Low"は(4)のパターンですが、(1)のパターンで"Heaven And Hell"で良かったんじゃないかと思う人も多いでしょう。
私はその一人です。
それと、「おくりびと」の英題は"Departure"ですが、一般的日本人でも最初に「おくりびと」というタイトルを目にした時はしっくり来なかった訳で、思いきって直訳の"Sender"もアリだったと思います。
"Departure"は恐らく山崎努が出した求人広告の文句から取ったのだと思われます。
私が非常に気に入っているのは勝新太郎と三船敏郎の夢の競演、「座頭市と用心棒」の英題で、真ん中の「と」を"and"ではなしにアメリカ英語の常套句である"meets"にしているところ。
"Zatoichi Meets Yojimbo"です。私はフィラデルフィアのレンタル屋で見つけた時に大興奮して速攻、借りました(笑)。
「たそがれ清兵衛」→ "Twilight Samurai"は(1)と(4)の合体パターンと言えるでしょう。
ちなみに山田洋次監督の藤沢周平三部作の他の二本は、「隠し剣 鬼の爪」→ "The Hidden Blade"、「武士の一分」→ "Love And Honor"となっています。
「蒲田行進曲」の"Fall Guy"などは私がフィラデルフィアのレンタル屋で目にした時、directed by Kinji Fukasakuで"Fall Guy"というタイトルなら間違いなくヤクザものだろうと思いました。
階段落ちのシーンに挑む主人公 → "Fall Guy"です。DVDパッケージの裏面を見てエラく懐かしくなりました。
深作欣二だと、"Police And Thugs"という英題も忘れられません。
原題は「県警と組織暴力」です。
「おお、何とナイスな奇遇!」と心中、拍手をしたのは岡本喜八/仲代達矢の名コンビの「斬る」で、英題は"Kill!"です。
「戦場のメリークリスマス」もかなり気に入っています。
物語の最後のたけしの台詞をそのまま使って、"Merry Christmas, Mr. Lawrence"。
私個人の好みではone of the bestです。
反対に「こりゃあ、ねえだろう」としか言いようのないのは、まず「瀬戸内少年野球団」。
「瀬戸内少年野球団」は、夏目雅子/郷ひろみの1984年版と、鷲尾いさ子/田原俊彦の1987年版がありますが、私は一本目しか観ていません。
アメリカで英語字幕付き配給されているのは一本目だけだと思います。
この作品は手っ取り早く言えば、終戦後の淡路島で戦争未亡人として亡夫の弟との結婚を勧められている夏目雅子と、実は生きていて帰ってきた夫、郷ひろみと、少年野球団の子供達の話しなのですが、英題は一体全体、何がどうしたものか、
"MacArthur's Children"です(笑)。
"The Gods Must Be Crazy" →「ブッシュマン」よりもヒドい(笑)。
浅田次郎の「日輪の遺産」が今年、佐々部清監督のメガホンで映画化されますが、「日輪の遺産」の英題が"MacArthur's Children"ならまだ分かる。しかし「瀬戸内少年野球団」はいくらでも他につけようがあるだろう。
そして私が一番、納得できないのは、ハリウッドのリメイク制作も決定している是枝裕和(これえだ ひろかず)監督の傑作、1999年公開の「ワンダフルライフ」です。
舞台は人間が生と死の間に一週間、滞在する仮住まいのような場所です。
確か、夏休み中の学校の校舎で撮影したんだったと思います。
ここには死者が死後の世界へ旅立つ準備を手伝うスタッフ達がおり、彼らは何をするかというと、一週間の最初の日に、死んでこの場所にやって来た人達が「生前、一番、印象に残った出来事」、もっと具体的に言えば「人生の一番、大切な想い出」をひとつだけ思い出して決めることを促し、死者それぞれから個別に話しを細かく聞いてその想い出の場面を6日間かけてショートフィルム化します。
そして7日目に上映し、鑑賞中の死者の頭の中に記憶が鮮明に蘇って、その場面と同化した時に、その「人生で一番、大切な想い出」だけを胸に死後の世界へと旅立って行く、上映が終わると席は空になっている、という物語です。
ここにやってくる死者達は年齢も死因もまちまちで、想い出を決められない人も、何も思い浮かばない人も、思い出すことを拒否する人もいます。
真面目な映画です。ホラーじゃありません。
そんで「ワンダフルライフ」って英語なんだから、"Wonderful Life"そのままでいいじゃない(笑)。
ところが英題は、"After Life"なんだよ。
俺は納得できねえな(笑)。
こうしてまとめたのを見れると面白いです。
邦題「斬る」で、英題は"Kill!"ってスゴイ!
なんだか、妙にうれしくなりました!(笑)
「ワンダフルライフ」おもしろそうですね。観てみたいです(^-^)
で、"Wonderful Life"そのままでいいじゃない!同感です♪
投稿情報: 夢子 | 2010/07/13 16:51
「ワンダフルライフ」はいいですよお。
私は寺島進が大好きなのですが「ワンダフルライフ」はヤツのone of the bestです。
"Kill!"はジャパニーズ・サムライ・ムービー4本Boxセットのバラ貸しでした。仲代達矢と岡本喜八の魅力が詰まった一本です。
私も妙に嬉しくなりました(笑)。
投稿情報: たしん | 2010/07/13 18:06