1993年公開の"Made in America"において何がmade in Americaかと言うと主人公の二人、Whoopi GoldbergとTed Dansonの娘です。
Whoopiは男に依存する女の生き方と結婚というシステムを否定する自立した黒人女性です。
彼女は結婚はせずとも子供は欲しいので、sperm bankを訪れて人工授精し娘を授かります。
その娘が18歳になった時、詳しい経緯は覚えていませんが、自分の母親に今まで聞かされてきた話しとは違い、自分の父親は実は何と、sperm bankのドナー(確か、Ted Dansonが若くて貧しい時の小銭稼ぎだったと思います)だったことを知ってしまいます。
そして、たまたま知り合いがsperm bank業界にいたかなんかで、飴と鞭で頼み込んで極秘扱いのドナーの記録を盗み出してしまいます。
娘がその記録の中に発見した自分の父親の名前は、普段、カウボーイ・ファッションに身を包んでテレビのローカルCMに出演している中古車ディーラーの社長で、見た目も喋り方も100%白人のオッサンと一致します。
「はあ!? 白人!?」
という驚きとともに実際に会いに行くと、そのオッサンは確かに時期的に合致する頃、sperm bankにて「提供」したことを思い出し、その提供物が実際に使われて、その結果が目の前に現れたということにハンパじゃない衝撃を受けます。
まあ、それはそうでしょう(笑)。
しかも「あなたの娘」と自己紹介するハイティーンの女の子は黒人なのです。
娘はこの生物学的父親を母親に引き合わせるのですが、母親・Whoopiもドナーは黒人だとばかり思っていたので衝撃を受けます。
当時、Whoopiがsperm bankに出したリクエストは、tall, intelligent, black manで、
「3つのうち、1つ当てはまれば、まあいいか」
だったため、tallだけがマッチしたドナーの提供物が回ってきてしまい、提供される側もドナーの正体を知ることは出来ないので、ずっと自分の娘の父親が白人であったとは夢にも思わなかったという訳です。
娘の引き合わせにより対面したWhoopiとTed Dansonは紆余曲折あって、お付き合いを始めるのですが、Whoopiが選んだファーストデートのディナーの店が日本食レストランで、しかもSushi Bar(カウンター席)。
このシリーズで紹介してきているように寿司が登場する洋画は結構ありますが、カウンター席のシーンというのは、この"Made in America"と、第一回で取り上げた"Scenes From a Mall"がビッグ2です。
他にも何本かあるにはあるのですが、料理がキチンと映っているものは私が知っている限り、ありません。
さて、この寿司バーのシーンですが、自分の行きつけの店を選んだWhoopiは当然、食べ慣れており、Ted Dansonは寿司というものを見るのも初めてです。
二人の前には同じ内容の下駄が二枚、置かれるのですが一応、フィラデルフィアで長いこと寿司を握っていた私に言わせれば、あれは「特上/上/並」や「松/竹/梅」などの盛り込みではなくWhoopiが選んでオーダーしたお好みです。
15年以上前に観た映画であるにも関わらず私ははっきりと覚えているのですが、「はい、お待ち」と出された二枚の下駄は同じネタが乗っていて全て一貫づつです。
一貫づつなら、盛り込みではないかと思いがちなところですが、あれは絶対にWhoopiが"2 pieces per order"のa la carte(お好み)をバババっと頼んで一貫づつ分けて二皿に盛るようリクエストしたもの。
何故ならば、後列左端に鎮座していた一品は、
"Flying Fish Roe with Quail Egg"(軍艦のトビコ、ウズラの卵の黄身のせ」だからです。
これが盛り込みに入ることはまずありません。
トビコが入っている盛り込みを頼んでエクストラ料金で、そのトビコにウ玉を落としてもらうよう、Whoopiがリクエストした可能性もないではありませんが、あの作中のWhoopiだったら全てアラカルトで頼んだことでしょう。
「はい、お待ち」と出された初体験の寿司を目にしたTed Dansonの一言は、
"They look so raw."(すごく生っぽいなあ)。
それに対し笑いながらWhoopiが返すのは、
"That's the whole point!"(そこがポイントなんだってば)。
という訳で、初体験の生の魚を目の前にして躊躇したTed Dansonは下駄の上に乗った中で唯一の「恐くない見た目のアイテム」山葵の塊をいきなりパクッと全部、口に入れてしまいます。
いきなり悶え苦しみ出した連れの姿に仰天したWhoopiが何事かと尋ねると、声にならない声でTed Dansonが言ったのが、
"I ate the green stuff."
店内、騒然となる中、Ted Dansonは目についた近くのテーブルの日本人とおぼしき客の瓶ビールを鷲掴みでラッパ飲みして、やっと一息つきます。
あのリアクションこそがアメリカンだと私は思いました。
この山葵騒動というのは1980年代の終わりに私の友人も一度やらかしています。というより、やられています。
私は後から聞いたのですが、一人のWhite Americanの友人の寿司初体験というのは日本人のガールフレンドとの日本食レストランでのデートで、料理が出てきた時に"What's this green Stuff?"と訊いたそうです。
すると彼女が"Green Tea Chocolate"(抹茶チョコレート)と答えたので、一塊、パクっと行ってしまい、悶絶したそうです。
あれは、ふてえ女だった(笑)。

洋画の食事のシーンをそこまで解説できるたしんさまがスゴイ!
そんな見方ができたら楽しいでしょうね♪
お好みのお寿司だったんだぁ・・・
それにしても、山葵を抹茶チョコレートとはヒドイ(笑)
私は友人達とオージーの友達を割烹へ連れて行ったとき、そのモノの時だけ料理の通訳をせずに
とろんとした“白子”を「“高級品”です」と言って、食べさせたくらいです(^-^)
食べてからそれがなんだか知った彼・・・かなりのショックに、白い顔がよりいっそう白くなっていました(笑)
投稿情報: 夢子 | 2010/06/21 07:36
白子をsomething expensive(笑)!
ヒドいけど、おもしろい(笑)。
でも「美味しんぼ」で山岡が、捕鯨反対運動に熱を上げていたジェフに思いっきりフルコースで鯨を食わせたよりはかなりマシですね(笑)。
夢子さん、アメリカの日本食には"Spider roll"という巻き寿司があります。
中身はSoft Shell Crabと呼ばれる、ズワイガニの一種が脱皮した瞬間を狙って収穫されてしまった状態の蟹で、焼くよりも揚げた方が美味しく、煮ると美味しくありません。
"Soft Shell"ですから殻ごと食べられます。
日本でもベトナムからの輸入物を出している中華料理店がありますが、アメリカではかなり人気の高い食材です。
これの大きいので、足の端から端までが成人男子のかなり大きい手のスパンぐらいです。
これを丸ごと揚げて足が海苔の端から飛び出すように太く巻いた巻き寿司が、足の形状を蜘蛛に見立てて、Spider Rollと呼ばれます。
私の柔術の師匠の黒帯ブラジリアンは「俺は美味いもんなら、とにかく何でも食うよ」という人間で、これを「中身は蜘蛛だから」と言って食べさせた時、何の疑いもせず、
"I didn't know spider's this good"と言ってました。
もちろん、ネタは明かしましたが。
もうひとり、食べ慣れてる中年アメリカ人と仕事仲間の寿司初体験女性が来た時は男性が真っ先にSpider rollをオーダーし、女性がSpider Rollを食べながら「ところで、この中身、なんなの?」と私に訊いた時に私と彼が目で分かり合ってしまい(笑)、スパイダー・ロールだから、もちろんスパイダー、と答えました。
もし5インチ以上のデカイのを生きたまま捕まえたら、ウチで買い取るから連絡して、とまで言いました(笑)。
彼女はずっと「そんなことがあっていいものだろうか!?」と半信半疑でしたが、最終的に"Oh, my God! I ate spider"と言いながら帰って行きました。
私は男性に目で「ネタは明かせよ」と訴えましたが、彼の目は「うまく行ったな」としか言ってなかったと思います(笑)。
投稿情報: たしん | 2010/06/21 08:14
あはは!
食べ物ネタは、楽しいエピソード満載ですね!
その女性…まだspiderだと信じてますかね~(笑)
確かに足が8本はみ出てたら、クモだと思っちゃう?
そんな美味しいクモ巻寿司なら、私も食べてみたい♪
投稿情報: 夢子 | 2010/06/22 01:18
連れの男性がネタを明かしてくれたことを願います。
他にも鶏卵の表面に私の芸術的センス迸るリアルな模様を落書きしてネタケースに転がしておき、お客さんに"What the heck is this!?"(いったい、こりゃ何?)と訊かれると平然と"Rattlesnake egg"(ガラガラ蛇の卵)と答えたりしてました(笑)。
Soft Shell Crabはモロに天麩羅として食べても、素揚げして粗塩や辛めのタレで食べても実に美味です。
ただ、ある程度、もったりと衣をつけないと水が出て油が早く死ぬのが難点。
投稿情報: たしん | 2010/06/22 01:38