まず、いきなりですが訂正とお詫び。
北川悦吏子監督の「ハルフウェイ」という作品について書いた時に、私は岩井俊二監督の特徴は、例外はあるものの、「登場人物全員に対して好感を持てる作風」と書きました。
その後、岩井監督作品で市原隼人と蒼井優という二人の日本が誇る若手スターの銀幕デビュー作、「リリイ・シュシュのすべて」をDVDで観て考えを改めました。
「リリイ・シュシュのすべて」は田舎の中学生達を描いた作品ですが、度を超えた、目を覆うばかりのイジメや暴力や何の対策も考えずに放置するばかりの教師が頻出する観ていてキツい映画です。
岩井監督は過去にこれだけの暗く生臭く剥き出しの思春期も描いていたのか、と驚きました。しかも監督本人が「遺作を選べたらこれにしたい」と明言しているそうです。
という訳で、「俳優のデビュー作」の第7回は「前編・市原隼人」と「後編・蒼井優」に分けて、まず前編は乾いた声とカラカラと耳に心地よい笑い声とキリリとした二枚目顔と憎めない笑顔で人気の高い市原隼人、現23歳。
ごく普通の高校生を演じた「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」という主演作の中で、恋する女の子を訪ねて女子高校の教室に乗り込むシーンがありますが、なまじ、そんじょそこらのイケメン俳優ならクサくて決まらないところを市原隼人という個性は凛々しく一本気でコケティッシュにまとめています。
私が市原隼人という俳優を初めて見たのは、ほんの3,4年前、全米衛生放送dish networkの有料日本語チャンネルの中のごくわずかな映画枠でかかった「天使の卵」でした。
作品自体がよかったかどうかは別として、市原隼人という人材は実にいいなあ、有望だなあ、と思いました。
ごくごく単純な言い方をすると、「こいつ、すっげえ、いいじゃん」という塩梅。
その後、なんのかので出演作を計8本、観ています。
市原隼人がこれまでに出演した映画は現在、公開中の「ボックス!」を含めて15本で、そのうち実に12本が主演。
2006年公開の6本目以降、主演のみのキャリアです。私は主演作しか観たことがありません。
私が一番、市原隼人らしさを感じるのは2003年公開の「偶然にも最悪な少年」でしょうか。
市原隼人は「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」という栃木県の田園地帯を舞台にした映画で大暴れしていますが、デビュー作の2001年公開作品「リリイ・シュシュのすべて」も舞台は栃木県で、おそらく足利市だと思われます。他にも佐野や宇都宮の地名も出てきます。
「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」という映画でも殆ど全く栃木弁は出てきませんでしたが、「リリイ・シュシュのすべて」でも私が憶えてる限り、たった一回、憤慨した時や呆れ返った時のフレーズ「まったく」が「ったぐ」になっていた、たった一回のみ(笑)。
当時、市原隼人は14歳の中学生で主役デビューでした。一言で言えば「パシリ」の役です。
私が敬愛する山田洋次監督が「十五才 学校Ⅳ」の主演オーディションで金井勇太を抜擢した時に、確かに山田監督好みだなあ、と思ったのですが、岩井監督の市原隼人抜擢も実に頷けます。一言で言えば「透明感」あるいは清潔感に惹かれたのだと思います。
決して楽しくも明るくもない思春期の日々のストレスの解放をリリイ・シュシュというポップ・アーティストの音楽と存在そのもの、そしてインターネットのファン・サイトでの同士との交流に求める、田舎の、結局のところ孤独な中学生を好演したのが市原隼人の銀幕デビュー。
彼の最大の特徴でありセールスポイントである
「思い切り人を食った、されど憎めない、カラカラ大笑い」はまだデビュー作では出てきません。
この項、後編の蒼井優に続く。
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