「俺は自タイの悪徳マネージャーばかりやってる訳じゃない! ちゃんと仕事してるんだ!」と、一応、こっちは理解していることの証明をするために、尾尾尾さんが一昨日の「69秒の世紀のビッグ・アップセット」の写真を送ってくれました。
UFCとStrikeForceがケージサイドでの撮影を許可している数少ないプロ・カメラマンである尾尾尾さんが、ラウンドガールが歩く張り出し(リングのエプロン)に肘を乗せてキャプチャーした世紀の一瞬です。
尾尾尾さん、ありがとう。
ヒョードルからブッチャーまでの振り幅の広さには頭が下がります。
そして、銀幕腕十字の「試合に関しては丸三日間、書かない」というポリシーは丸二日に変更します。
ということで今回は「世紀の一本負け、ヒョードルの陥落」について。
ネット視聴環境に関しては山ほど文句がありますが後日に回します。
たけき者もつひには滅びぬ。
「60億分の1」人類最強と謳われたヒョードルの敗戦のポイントについて語る前に、私が丸二日、考えたのは、
「青木を完封したギルバート・メレンデスと同じ闘い方をヒョードルがしていれば恐らく負けはしなかっただろう」ということ。
ヒョードルはヒョードルらしく冷静かつ獰猛に闘い、その結果、敗れた。
アグレッシブであったが故にキャプチャー(捕獲)された。
そして、敗れたヒョードルは、25分間、ヒット・アンド・アウェーに徹して青木に勝ったメレンデスの10,000倍、ファンを熱狂させた。
私はヒョードルが負けたのは残念ですが、試合後のヒョードルとファブリシオの佇まいを見ていると、敗れてうなだれるヒョードルの大物感が際立って感じられました。
かつてPRIDEヘビー級の暫定王座を懸けてノゲイラと闘い、腕十字でMMA初の黒星を喫したクロコップの悔し涙とノゲイラの疲労困憊の歓喜を比べると、やはりノゲイラの方が格上、と私は思いましたが、今回のヒョードルは負けてなお、その存在の大きさ深さを体現してみせた気がします。
少なくとも、青木戦勝利後のメレンデスよりも、世界最強でなくなってしまったばかりのヒョードルの方が美しかった。
最初「こいつ、大丈夫かよ」と心配になった通訳のオバハンを通して、
"Only the man who falls can stand up"
と短く語ったヒョードルの両目からは、星飛雄馬の瞳の炎を青くしたような迫力と妖気が感じられました。
さて、格闘技メディアのいくつかは決まり手を「三角絞め」(triangle choke)と報道していますが間違いです。
あれはヒョードルの左半身を両足でキャプチャーしたファブリシオが、ヒョードルの左腕を自分から見た左に流すことが出来なかったため、それでは肘極め、とスイッチして極めた「腕ひしぎ三角固め」(triangle armbar)です。
おこがましいけど、私の定番のパターンです。
ヒョードルは「決まり手はチョークだった」と言い、ファブリシオは「チョークとアームバー、同時に極めに行ってた」とコメントしているそうですが、仮に裸絞めの態勢で頬のエラが痛くてタップしたとしても決まり手は裸絞め。
世紀の敗戦の決まり手は腕ひしぎ三角固めです。
ヒョードルが勝ちを急いだ、と見る向きも多いでしょうが、私はやはりここはファブリシオのハイエスト・グレードの柔術に賛辞を贈りたい。
首を支点にバンザイで回転してガードで捕まえるテクニックなどbeautiful!であるとともに、6'4", 238.5lb.(193cm, 108kg)の体格であれだけ柔らかい動きが出来るというのがそもそも凄い。
そして私が非常に驚いたのは、ヒョードルが三角でキャプチャーされた半身の側に倒れ込んで首を抜く基本のディフェンスを何度も試みていたこと。
私個人の勝手なイメージで、ヒョードルはスタンドの打撃のガード以外、ディフェンスの練習をやってそうな印象がありませんでした。
しかし、天下のヒョードルとはいえ、そしてスーパー・ブラックベルト、ファブリシオ戦とはいえ、極められた状態からのエスケープの反復練習をガッチリやってきてんだなあ、と妙に感動してしまいました。
それでも「ファーストラウンドは汗で滑らないから三角で行けると思った」というファブリシオのピンポイントの勝負強さもやはり凄い。これほど説得力のある、あの場面の解説もないでしょう。
ヒョードルのStrikeForceとの契約はあと一試合、残っています。
今後の展開で私が望むのは今回の敗戦を機にヒョードルのマネージメントを牛耳っているM-1 Globalが不毛な無理難題を主張するのをやめること、もっとはっきり言えば、M-1 Globalの発言力が地に落ちること。
そしてヒョードルは政治家なんていう向かない仕事への転職なんざ考えずに、我々が望む夢のカードをやり尽くすまで現役を続けること。

あの試合は、間違いなく名勝負ですね~~
一流通しの闘いは、えてして一瞬で勝負が決まるんじゃないかと
思いましたね~~
あの攻防はぞくぞくしたし、ファブリシオの
テクニックは素晴らしかったですね~~
この敗戦は、絶対ヒョードルにとって
いいことです~~
ヒョードルのしがらみがなくなって
自由に闘うことができると信じてます~~~
たしんさんの柔術テクニックも見てみたいですね~~
投稿情報: ケーシー | 2010/06/29 03:42
この試合の結果をもって「現在の世界最強はファブリシオ」ということにはならないのが格闘技の難しくて面白いところだと思います。
ヒョードルには、せめて一試合、UFCのトップどころとやってほしいです。
実際、このヒョードル対ファブリシオ戦、そしてレスナー対カーウィン戦と比べられる訳ですから青木ー川尻戦は大変ですよ!
投稿情報: たしん | 2010/06/29 04:11