私の高校時代の現代国語の先生が授業中に言った「複数の本を同時進行で読むことは脳を鍛えることになる」という一文は私に多大なる影響を及ぼし、かれこれ25年近く経った現在、一冊の本を読み始まって読み終えるまでに他の本を一切、読まない、ということは私の場合、ほぼ100%ありません。
少なくとも二冊、つい昨日までは五冊の日本の文庫本を同時進行で読んでいました。
といっても熱心に交互に読んでいる訳ではなく、読み散らかして放っぽらかしておいて、また戻る、というカンジのヤツもあるので、一番、長い一冊は軽く半年以上の放任本です。
昨日、二冊、読み終わったので残るは三冊ですが、残りの三冊を読み終える前に4、5冊は読み終えてしまう気がしています。
さて、昨日、読み終えた二本の小説ですが、どちらも今年中に公開が決まっている邦画の原作です。
ひとつは吉田修一という人の「悪人」。もうひとつは咲乃月音(さくのつきね)という人の「さくら色 オカンの嫁入り」。
二人とも私にとっては初めて読む作家で、二人とも私と同世代です。
吉田修一という人は1968年、長崎県生まれで、咲乃月音という人は1967年、大阪生まれ。
どちらの作品も作者のバックグラウンドが反映されており、「悪人」は九州北部の大都市から寂れた町までを線で結ぶ、「悪人とは一体、どんな人間のことを言うのか」を問う、殺人犯人の逃避行の話しで、「さくら色 オカンの嫁入り」は「じゃりん子チエ」以上にコテコテの大阪弁文学です。
どちらも今年の秋公開です。両方とも物凄く力に満ちた読み応えある小説だったので劇場に足を運ぶのが楽しみです。
どちらの文庫本も映画化の際の主演俳優の写真付き帯で装幀されており、当然ながら、この帯が私が書店で手に取ったキッカケです。
「悪人」は上下巻ですが上巻の写真が、父親を知らず幼い頃に母親に捨てられ祖父母に育てられた無口な青年、妻夫木聡で、下巻は主人公と携帯の出会い系サイトで知り合い人生を賭した恋に落ちる深津絵里。
「さくら色 オカンの嫁入り」は、二十歳での結婚のすぐ後、妊娠の事実すら知らないうちに夫に先立たれた母に育てられ、家事一切の出来ない母を支える一人娘を宮崎あおい、ある晩、酔っ払って「お土産があるぞい」と、かなり年下の再婚内定の相手を連れ帰る母を大竹しのぶが演じます。
監督は「悪人」が李相日。日本映画学校の卒業制作作品を除くこれまでの4作中、私は「69 sixty nine」、「スクラップ・ヘブン」、「フラガール」の三本を観ています。期待できます。
「さくら色 オカンの嫁入り」は呉美保の監督二作目。デビュー作は「酒井家のしあわせ」で、これもかなり面白い映画でした。期待できます。
今の時代、他のキャストも、その気になれば調べられるのですが、私は敢えて調べません。
妻夫木聡を育てた苦労人のおばあちゃんや、ストーリーの中核を成す殺人事件の被害者の若い女性の両親や、オカンが連れ帰った明るく優しく単純なリーゼントの板前さんや、オカンと娘を支えてきた大家さんのオバちゃんなどを誰が演じるのだろう、と楽しく予想しながら待ちたいと思います。

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