私は「ハルフウェイ」という映画は私が敬愛する岩井俊二監督がメガホンを取った作品だと思って観たのですが、岩井監督はプロデューサーの一人であって監督は北川悦吏子(きたがわえりこ)という人でした。
私はテレビドラマは日米ともに滅多に見ないので疎いのですが、この北川悦吏子という人は超・売れっ子のテレビドラマの脚本家で「ハルフウェイ」が監督デビューだったそうです。
これまでに手がけたテレビドラマの脚本一覧を見ると見事に一本も私は見ていませんが(笑)、私でも知っている一番、有名なところでは豊川悦司を世に送り出した「愛していると言ってくれ」ではないでしょうか。
「ハルフウェイ」は岩井俊二がプロデュースしているだけあって作風が似ています。
どう似てるかというと、ひとつには「登場人物全員に対して好感を持てるところ」。
岩井俊二作品はただ一つの例外、一人二役の中山美穂と豊川悦司主演の「Love Letter」の北海道小樽サイドの中山美穂の中学生時代(酒井美紀)の「藤井樹(いつき)」という同姓同名の男子クラスメート以外は本当に登場人物全員に好感が持てます。
あの中学生男子だけは私、ダメ(笑)。
もうひとつは、映画というのは自主制作の超低予算作品でない限り、二十代半ば以上の大人が作るものなのですが、10代の男女の考え方と喋り方をどうしてここまでリアルに再現できるのだろう、というところ。
言い換えれば、自分がティーンエイジャーだった頃の気持ちを忘れていないということで、これはなかなか出来ることではないと思います。
逆にいえば、「〜〜に繰り出そうぜ」とか「俺たち、仲間じゃないか」などのsuper unrealisticな台詞を耳にすると、そういう非現実的な語り口の脚本しか書けない連中の作品は二度と見まい、と思います。
「ハルフウェイ」の制作に当たっては高校生の恋愛をリアルに描くために元々あった台詞つきの台本を殆ど使わず、現役のティーンエイジャーである主演二人のアドリブで喋らせて撮影したそうです。
そういう思いきった任せ方も、なかなか出来るものではないでしょう。
「ハルフウェイ」の中で、登場人物に対する好感というところで言うと、私が生理的に受け付けない、どうにも嫌いな俳優が二人、出ているのですが、その二人にすらも大いなる好感を抱いてしまいました(笑)。驚いちったよ(笑)。
舞台は北海道の地方都市で、高校生活の終盤に進路の関係で遠距離恋愛を強いられることになるかもしれない恋人二人がどう対処していくかという、ある意味、世界中に転がっている普遍のテーマを扱っていますが、主演の恋人二人を演じる岡田将生と北乃きいという女の子がどれだけ絶賛しても褒め切れないほどに素晴らしく、役者の飾らない素晴らしさと素材の持ち味をシンプルに引き出しきって見せる料理人の素朴な傑作を見るようです。
女子がスネて男子が困るのは本当にこんなカンジだよな、とか、男子が決めかねて女子がエールを送るのはこんなカンジだよな、とか、男子がはぐらかして女子が甘えるのはこんなカンジだよな、とか、本当にリアルで、高校時代の約1000日間、ひたすら勉強か部活だけしていた人以外の全ての人が大喝采を送る傑作だと私は思います。
「ハルフウェイ」というタイトルも非の打ちどころのない完璧さですが、その成り立ちのシーンも主演の二人が本当に素晴らしくキラキラと輝いており、私などは「これでなんか美味いもん、食ってきな」と小遣いをやりたくなってしまいました(笑)。
映画監督としてデビューして以降の岩井俊二がそうであるように、北川監督にもこれからは出来る限り映画中心で活動してほしいと願います。
才能あるクリエイターはすべからくテレビから映画のほうに来てほしい。

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