少し前に現在、日本で公開中の"The Hurt Locker"を観てきたのですが、これはカタカナ表記の「ハート・ロッカー」を見て、「熱き心のロックンローラー」の話しだと勘違いする人もいるのではないでしょうか。
実際はイラクでのアメリカ軍・爆発物処理班の話しです。
私は正直、普段、中東での政情に熱心に注意を払って平和の為に時間を割いて祈っている訳ではありませんが、ブッシュ大統領親子の父が始めた時の戦争も倅が始めた時の戦争も友人がアメリカン・アーミーとしてイラクに行っているので、中東の戦争を扱った映画を観ると必ず彼らを思い出します。
"The Hurt Locker"は砂の匂いまで漂ってきそうな臨場感あふれる映画で、Kathryn Bigelowという女流監督の手による作品です。
物凄い力に満ちた映画で「見応えがある」という形容がピッタリ来るのですが、爆弾処理班のリーダーを演じている主演のJeremy Rennerが、この映画の中ではやたらとK-1のアレクセイ・イグナショフに似ているのです。
アレクセイ・イグナショフというのはあらゆるプロ格闘家の中でかなり上位の「ムラのある選手」で、いい時と悪い時の差が滅茶苦茶、激しいベラルーシ人ファイターです。
彼のピークは弱冠23歳、まだ学生だった時の2001年で、その年のワールドGPは予選トーナメント優勝、グランド・ファイナル・ベスト4の成績を残しています。
グランド・ファイナルでは準決勝でフランシスコ・フィリオに判定で惜敗するのですが、テレビ中継では第1と第3ラウンドしか放送されず、東京ドームで観ていた私の元・雇用主は「第2ラウンドは絶対にイグナショフが獲ってた。あの判定は絶対におかしい」と主張し会場でかなり口汚く野次ったそうです。
ムラのある選手なので取りこぼしも多いのですが、「いい時に」今までに勝ってきた相手もハンパではなく、ボンヤスキー、アーツ、バダ・ハリ、ベルナルド、シュルト、を下してきています。特にベルナルドとシュルトをKOに沈めた試合は圧倒的な差を見せつけてボコボコにした、という印象が強く残っています。
このイグナショフは最後の日本での試合以降、ハンガリー、オランダ、アメリカ、ニュージーランド、韓国、チェコ、フランス、ルーマニアで勝ったり負けたりの試合を続けてきましたが、明日、4月3日の土曜、実に4年半以上ぶりで日本のK-1のリングに立ちます。
2005年9月の大阪ドーム大会、ワールドGPベスト16の最終予選で、前年度覇者で最終予選シードのボンヤスキーとのスーパーファイトで延長判定で敗れて以来の日本登場です。
これまでメディアには出ていなかった話しですが2004, 5年の頃のイグナショフというのはアルコール依存症でプロ格闘家としての自身の管理が出来ていなかったそうです。
"The Hurt Locker"の主人公もかなり飲むキャラクターなので更にイグナショフとダブります。
そして三年前、ベラルーシにいるとどうしてもチヤホヤされて練習をサボって飲みに出かけてしまうので、極端なことに地球の裏側のニュージーランドに移住。ゼロからの出直しを計り練習漬けの毎日を送り、今では酒のことは全く頭に浮かばないそうです。
イグナショフは現在、まだ32歳なので、本気になれば頂点に立つ可能性は十分にあります。
そのイグナショフが復活をかけて今年度のK-1ヘビー級の開幕戦、横浜アリーナ大会で手を合わせるのはバダ・ハリ!
全9試合中、ブッチギリでグレイテストなカードです。私はどちらも大ファンなのでつらいところではあるのですが、これだけ直球ド真ん中のカードが追加発表された時は炎上しました。
この試合がどれだけ期待されているかというと、ヘビー級とスーパーヘビー級のタイトルマッチ2試合を差し置いてメインなのです。
私は、よっぽどのことがない限り、ノンタイトル戦がタイトルマッチの上でやるべきではないと常々、思っていますが、今回のバダ・ハリ対イグナショフ戦は「よっぽどのこと」です。
二人は2003年の6月にアムステルダムで対戦しイグナショフがKOで勝っていますが、当時のバダ・ハリは弱冠18歳のグリーン・ボーイで、しかも欠場した選手の代打出場でした。
そこから約7年、経って今やバダ・ハリは自他ともに認めるK-1の主役です。一昨年以降のK-1は、はっきりとバダ・ハリを中心に回っています。
人気最高潮の主役の千両役者対、生まれ変わって復活を期する大器。
この試合は判定までは行かないとは思いますが、もしも1ラウンドでもフジテレビがカットして放送したら、ワタクシ、怒りで寝込んでしまうかもしれません。

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