「日本代表・高倉健」という書き方を私は頻繁にします。
この「日本代表」という言い回しは1987年にデビューした時のザ・ブルーハーツのキャッチフレーズです。
私にとって日本代表のロックバンドはブルーハーツ、日本代表の俳優は高倉健です。
そして、私にとっての「アメリカ代表」の俳優は誰か。Dennis Quaidです。
自分で分析すると、アメリカ初期の1988年に、"Everybody's All-American"というタイトルの映画で、まさしくアメリカ代表たるカレッジ・フットボールの花形プレイヤーを演じたデニス・クエイドを見たことが、アメリカ代表=デニス・クエイドと考えるようになったキッカケのような気がします。
別に「アメリカ代表の条件」という訳ではないのですが、私がデニス・クエイドに見るアメリカ代表である理由というのは「ガタイがいい」以外に幾つかあります。
スタジャンが似合うところ。
Levi's 501や505などのクラシックなジーンズが似合うところ。
笑顔が大振りであるところ。
ビールの小瓶のラッパ飲みが似合うところ。
そしてテキサス出身であることもアメリカ代表のキャラクター形成において全くの無関係ではないと思います。
大振りな笑顔に関して付け加えると、アメリカのユーモアのセンスというのは私がリアルタイムで知らない時代に比べると、かなりシニカルになったと思います。しかし、シニカルな笑いというのは本来のアメリカに相応しくなく、デニス・クエイドのように大振りで明るい笑い方をしてこそ、アメリカ代表だと思います。
ジャック・ニコルソンじゃないでしょ(笑)。
出演作品を古い方から順に見ていって、デニス・クエイドが出ていたことを私がはっきりと覚えている最初の映画は"Jaws 3-D"です。
私は公開から数年、経ってからビデオで観ましたが1983年の公開で、当時のデニス・クエイドは29歳。
一本目と二本目の"Jaws"の主役、フロリダのビーチタウンの警察署長、ロイ・シャイダーの息子が成長した姿が三本目の主役でデニス・クエイド。
あらゆる意味で(いい意味での)「これぞ、アメリカの典型的な若者」だったと思います。国籍に関わらず、こういうヤツが女の子にもヤローにもモテるんですよ、というアイコンたる存在。
私はこの"Jaws 3-D"以降の出演作は殆ど観ているであろうと思っていたのですが決してそんなことはなく、相当数、見逃しています。
私が観たことのある出演作は全部で31本です。
私の中ではデニス・クエイドという俳優はカレッジの人気者というキャラクターで登場しましたが、当たり前といえば当たり前の話しですが、子持ちを演じている映画の方が多くなりました。
デニス・クエイドは、「明るく正しく力強い男」と「清算されない痛みを持って、日々を生きる男」の役が多く、前者は、
The Right Stuff(1983): これは全員が「アメリカは俺たちに任せとけ」という男達でしたね。
Dragonheart(1996): デニス・クエイドにロン毛はねえだろうと思いましたが、王子の教育係の騎士という役どころはピッタリだと思いました。
Any Given Sunday(1999): デニス・クエイドがカミさんに「私はNFLスターのワイフなんだから引退なんて考えないでちょうだい!」と怒鳴られるシーンがありますが、私の友人は「アーツとかホーストとか、K-1のトップどころって、あんなカンジで言われてる気がするんですよね」と言っていました(笑)。
Frequency(2000): アメリカの代表的な男らしい職業のひとつの消防士でニューヨークメッツ・ファン。ジーンズはLevi'sのストレートでビールは小瓶をラッパ飲み。
この映画で、6歳の息子を自転車の練習に誘うシーンで、デニス・クエイドにピッタリだなーと強く印象に残った台詞が、
What do you say we tame this bronco, huh?
The Rookie(2002): これぞ、デニス・クエイドのための映画でしょう。代表作の一本。
The Day After Tomorrow(2004): この映画はデニス・クエイドの息子のガールフレンドが美しかった。そして、自分のボーイフレンドの父親がカッコいいのは気分のいいことだろうな、と思いました。
Yours, Mine and Ours(2005): 我が子に"Sir"付けで呼ばれる軍人ながら、厳し過ぎる親という雰囲気が全くないのが素晴らしい。
American Dreamz(2006): アメリカ大統領役! 正直、大統領をやるような年になったか!と驚きましたが似合ってました。岩城滉一がテレビで総理大臣を演じた写真を見た時と同じ気分です。
これらに比べて「清算されない痛みを持って日々を送る男」のパターンは、例えば、要人警護のボディーガードが過去に要人を守り切れずに死なせてしまったことがあるとか、仕事に没頭するあまり子供と共有する時間を殆ど持たなかったことを悔やんでいる、などの陰の部分がキャラクターの深みになります。
例えば、
"Vantage Point"(2008): いわゆる、「要人暗殺/未遂もの」としては最高峰の一本だと思います。これも代表作のひとつ。
"Horsemen"(2009): なまじ、主役のデニス・クエイド刑事が逞しく男らしいので、余計に疲弊感が伝わってきます。一言で言えば、やるせない映画です。男親が子供の担任と面談する時の緊張感が伝わってきました。
などですが、細かい内容を忘れてる作品がかなり多いもので、この「陰のあるデニス・クエイド」は実際には他に相当、あると思います。
"Flesh And Bone"(1993)や、"Cold Creek Manor"のように、「陰のある」というより映画自体が暗かったのもありますし。
変わったところでは、Jerry Lee Lewisを演じた"Great Balls of Fire!"。
私はジェリー・リーって、こんなに変なヤツだったの!?と驚いたのですが、この映画の公開から少し経った頃のアメリカの音楽雑誌の読者投票、"Who is the craziest rock'n'roller of all time?"で、Jerry Lee LewisかSid Viciousのどちらかが一位になってたのを覚えています。
"In Good Company"(2004)のデニス・クエイドも魅力的でした。
会社の方針により、直属の上司として転属してくるのが20代の若造で、その若造が大学生の娘と仲良くなり始める、という、娘を持つ中年の男、全ての燃え上がるシンパシーを買う役どころ。
アメリカで高校を卒業するということは日本以上に「家を出る」ことを意味します。"In Good Company"のデニス・クエイドとカミさんは美しい娘・Scarlett Johanssonの希望の大学に進学させてあげるため、家のローンに加えて新しいローンを組んで滅茶苦茶、高い学費を捻出します。
そして、大学に進学する子を持つ親の殆どが経験することですが、大量の荷物を積み込んだ車で大学の寮まで送り、部屋まで運び入れるのを手伝います。
搬入が終わって「お父さん、ありがとう。じゃあ、これで」となったところでハグして別れるのですが、デニス・クエイドは感極まって造りの大きい顔を歪めて目頭を熱くし、娘に見られぬように後ろを向いて手を振って車に向かいます。
娘を持つ男にとっては、娘が18歳だろうと10歳だろうと1歳だろうと、ある意味、娘が大学卒業から30年ぐらい経っていたとしても泣けて泣けてしょうがない、本当に心、揺さぶられるシーンです。
あの涙から数年、経つとスティーブ・マーティンの"Father of the Bride"の庭のワン・オン・ワンのシーンの想いになるのだな、と感じます。
"Smart People"(2008)は恐らく初の大学教授役ですが、「腹の出た中年」というデニス・クエイドらしからぬキャラクターです。
映画自体もかなり、おもしろいのですが、生意気な娘に常に言い負かされる腹の出た中年ヤモメっぷりは同情を誘います。
デニス・クエイドは私の中で「アメリカ代表」ですから、男女両方に愛される名優です。"The Parent Trap"を観た時などは、俺が女だったら、この男に「やり直そう」と言われて、NOとは絶対に言えねえな、と思いましたから(笑)。
ちなみに私は長らく、メグ・ライアンのファンだったのですが、デニス・クエイドとメグ・ライアンが結婚した時は「こんな似合いのカップル、他にはまず存在しないだろう」とマジで思いました。
まさに「アメリカ代表の夫婦」でした。
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