今回の減量は格闘家が試合の契約体重に落とす減量ではなく、映画俳優の役作りの減量です。
役作りの減量といえば、私が考える代表的なものは三つ。
公開年度順に書くと、
"Cast Away"(2000)のトム・ハンクス
「命」(2002)の豊川悦司
"The Machinist"(2004)のクリスチャン・ベイル
です。それぞれ、プロとはいえ、ここまでやるか?というレベルの激ヤセぶりを披露しています。
まず、トム・ハンクスの一年以上に及ぶ役作りから。
私は"Cast Away"を観た時、他の多くの人達同様、恰幅のいいFedEx職員の状態と、無人島に漂流してから数年後の痩せた状態の、どちらを先に撮影したのだろうと考えました。
私の予想通り、恰幅のいい方が先ですが、撮影前の準備で、どのぐらい体重を増やしたかの数字はWikiの英語ヴァージョンでしか見当たりません。しかし、Wikiの50パウンド(22.5キロ)増量というのは、はっきり言って間違いだと思います。
減量したのは50から55パウンドということで間違いなさそうですが、50パウンド増やして50パウンド落としたというのであれば、無人島でバレーボールのWilsonに話しかける、あのトム・ハンクスがプラスマイナス・ゼロの普通のトム・ハンクスの状態ということになります。これはない。
それに、役作りで50パウンド落とすのは考えられるにしろ、50パウンド増やすのはいくらなんでも狂気の沙汰でしょう。
とにかく、撮影前に何パウンドか増やしてセーターの首がちょっと苦しそうな恰幅のいい体になり、飛行機墜落までを撮った後に丸一年間、撮影は休み。その一年間、トム・ハンクスは約25キロの減量に励み、無精髭も伸ばしたそうです。
「命」の豊川悦司は、癌の発覚から末期までの少しずつ体重が減っていく様の順撮りで、計13キロ落としたそうです。終わりの頃の頬の削げ落ちっぷりは妖気すら漂っていました。
豊川悦司は肉体の鍛錬のためにボクシング・ジムに通っているプロ意識と向上心の高い俳優なので、減量の方法その他でジムの仲間達が力になってくれたのではないかと私は勝手に思ってます。
そして、作中、"If you're any thinner(lighterだったかも) than you are now, you don't exist"と言われるクリスチャン・ベイル。
この人は出世作となった2000年公開の"American Psycho"で見事な肉体を披露していますが基本的に「カッコいい体の二枚目」です。
それが「不眠症で一年間、眠れずに痩せるばかりの男」を演じるために、
「一日にコーヒー一杯と林檎ひとつかツナ缶ひとつのいずれかで275カロリー」
というハードコアなダイエットを4ヶ月以上、続け、63パウンド(約28.5キロ)落として、体重がたったの121パウンド(約54.5キロ)になったそうです。
本人は体重99パウンド(約45キロ)まで落とそうとしたそうですが周りに危険だから止められたのだそうです。
私は「あれだけの体をこんなに細くしてしまうとは何ともったいない!」と思ったものです。
しかも、激ヤセ役作りだけでも凄いのに更に驚くのは次作が"Batman Begins"だったこと。
63パウンド減量して体重121パウンドになった後に、半年かけてビルドアップし直し、190パウンド(85.5キロ)のマッチョ体で"Batman Begins"の撮影に臨んだそうです。
ちょっと信じられないね(笑)。

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