私は新生UWF→リングスの過程で前田信者だった人間です。
リングス最終興行の2002年2月14日、横浜文化体育館大会観戦のためにフィラデルフィアから密航したほどです。
私は前田が言うこと、やること全てに無条件で感服/追従する訳ではありませんが、現在、前田日明ならではの求心力をもって牽引している総合の大会、"THE OUTSIDER"は諸手を上げて支持しています。
これは、荒みきった十代を過ごした前田が、現代の不良達に対し、街で喧嘩して問題を起こす代わりにリング上で思い切り暴れる機会を与えるイベント、と言えば分かりやすいかと思います。
暴走族やチーマーやギャングなどはいくら腕っ節が強くても、それを振るうことは非合法なので行き着く末はお縄頂戴です。
しかし、リング上で格闘技としてやらせることによって合法的に暴れることが出来るし、本当にやりたいこととして格闘技を意識するようになれば実績次第でプロへの道も開けます。
こういうことは知名度のある人間がやらないとスポンサーがつかないし、問答無用の恐い人間がやらないと内外の人間にナメられます。
それに社会的意識が高い人間がやらないと偽善になるし長続きしないでしょう。
前田日明の仕事です。
アウトサイダーの出場資格は、年齢16ー35歳まででプロでの試合経験3戦まで、となっておりアマチュアと不良のみならず、セミプロと普通の若者にも門戸を解放しています。
よって大多数の出場者がモノモノしい「ワルの肩書き」を引っさげている中、保育士や放送作家などもいます。
ルールは3分2ラウンド制でパウンドありのダウンカウントもあり。判定はマストシステム。
後頭部強打の可能性のある当て身の投げ、すなわちパワーボム、バックドロップ、ジャーマンなどは禁止。
メイン・レフェリーは今や日本を代表する一人である梅木良則。
去年、2008年3月の旗揚げ以来、既に9回もの大会がリングス主催で開催されています。
今年三月には旗揚げからわずか一年の五度目の大会で、"THE OUTSIDER SPECIAL"として何と両国国技館に進出しました。
私が試合映像を観ているのはこの大会だけです。
両国大会以外は全てディファ有明で行われていますが、客層が基本的に不良なので警備が普通の格闘技興行よりも厳重で入り口に金属探知機もあります。はっきり言って「厳戒態勢」(笑)。
そして第一回大会の入場者数は超満員札止めの1,521人。
ディファ有明で、それだけの数字は三沢の方舟、ノアの旗揚げ戦ぐらいしか過去に出ていないのではないでしょうか。
とにかく、「不良達ヨ、覚醒セヨ」というキャッチフレーズで「喧嘩なんとしとらんと、こっち来んかい」と呼び寄せた連中が試合をする訳ですから、選手達の渾名や肩書きがカラフルで素晴らしい(笑)。
渾名にしろ肩書きにしろ、地域色が強いのが特色で、地元を仕切っている気概や造語感覚のカッ飛びっぷりがイベント性を際立たせています。
例えば、「ハマの狂犬」、「静岡天竜区最恐」、「川口連合第一代総隊長」、「北九州の不沈艦」、「津田沼のピットブル」、「浦安の皇帝」、などなど。ちなみに大晦日での小見川道大戦が待たれる高谷裕之の、そっち方面での現役時代の渾名は「ワンパンの高谷」。
地方のアマ総合大会やホストファイトでの連戦連勝の実績を引っさげて参戦してくる選手もいます。
試合内容はというと、おもしろい(笑)!
タダの殴り合いの試合でも結構、ダッキングやスウェー、カウンターはおろか、UFCでよく見られるここ数年の流行りのフェイントパンチ、「スーパーマン」を得意とする選手までいます。
そして、打ち合いになると、やっぱ根性が凄い。それに軍団を束ねる者としてのメンツもあるから不退転の気合いがビンビンに伝わってきます。
「練習はしてない」のがウリの選手が「何故ここまで攻防が出来てスタミナがそこそこ、もつ?」というレベルの天武の才を見せることもあります。
組技でも、「何、この十字!?」と私が心の中で叫んでしまった、潜って極めるハイレベル極まりない腕十字を見せる選手や、パウンドをボコボコに浴びながらも十字、三角、腕ひしぎ三角固め、を交互に狙い続けて最終的に一本、取ってみせた根性のテクニシャンもおり、つまらないプロの試合より、よっぽど楽しめます。
そして例外もあるにせよ、試合後は殆ど、両者が健闘を讃え合うか、敗者が悔し涙を流します。
敗れし者の悔し涙は本当に健全。背負ってきたものが表出したカタチです。感動します。
興行というビジネス・モデルで考えても「不良に合法での闘いの場を与える」というアプローチは非常に優れています。
何故なら、組織的にチケットが売れるからです。
暴走族の総長が出るとなったら、その組織で100枚単位でチケットがパーッと手売りで飛ぶわけですから、素晴らしい集客力です(笑)。
ただ、仲間意識と対抗意識が悪いカタチで出ると会場内外でイザコザが起きるし、今までに何度も実際に起きています。
しかし、それもイベントを構成する要素の一つとしてパーッとやって、やりすぎない程度にエンセン井上、村上一成などが目を光らせていれば、まあいいんじゃないの、と私は思います。やりすぎなければ(笑)。
アウトサイダーは8月の興行でトーナメント出場選手選考試合を行った後に、10月に「65ー70kgトーナメント」を開幕。
一日で一回戦、準々決勝を行い、今月13日の準決勝、決勝をもって初の「チャンピオン」が誕生しました。
初代王者(とてつもなく、いい意味での不良の行く末)に輝いたのは、
「北関東最強暴走族 魔璃闇薔薇(マリアンローズ)元総長」
栃木県の総合格闘家、吉永啓之輔
これは誇らしい!宇都宮の隣り、真岡は私が生まれた病院があるところですから(笑)。
しかも、このWikiにも出てる格闘家、吉永啓之輔のトーナメントの足跡は、選考試合・フロントチョーク、一回戦・三角絞め、準々決勝・三角絞め、準決勝・飛び膝蹴りKO、決勝・膝蹴りKO、のオールラウンドなオール一本勝ち!
試合データを見るとアウトサイダー全9回の開催のうち、8回に参戦して10戦8勝2敗。デビューは2008年のアマチュア登竜門、パンクラスゲート。これも三角で極めています。
ちょうど一年前の2008年12月の試合では試合終了間際にパウンドアウトのKO負けで初黒星を喫したものの、前田日明をして「日本人絡みの試合でこの数年でプロを含めベストバウト」と言わしめたという。これは凄すぎる褒め言葉だわ。
そして、その前後に栃木県真岡市に「TEAM YMC 栃木」を設立し、代表になっています。
要は自身のジムの一周年での初戴冠。
黒磯には元パンクラシストの山田学がいるけど、真岡ではパイオニアでしょう。まだ25歳。これから先、洒落になんなく楽しみです。
背中一面に彫られている不動明王が栃木の強さの象徴になる日が来るかもしれません。
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