ハイキックの使い手といえば何と言ってもピーター・アーツとミルコ・クロコップです。
グラウベもいますが、グラウベがハイキックで決めた試合というのはさほどなく、メジャーなタイトル獲得の経験もないので、アーツとクロコップとは差があります。
アーツが右、クロコップが左のハイで一時代を築きました。
しかし、二人とも峠を越えています。アーツは今年のグランプリ緒戦でアリスターに完敗を喫したとはいえコンディションは決して悪くありません。しかし、既に39歳です。伸びしろがありません。
クロコップも膝の手術以降、かつての、こん棒がしなるようなハイは披露できていません。
何よりも、アーツもクロコップも、かつては追いつめてセットアップした後に死角から放って一発で仕留める伝家の宝刀として蹴っていたのに、最近は起死回生の手段として使うことが多くなってきています。傍から見ても「困った時のハイキック頼み」で安売りしているのを感じます。
しかし、今年、「新ベスト・ハイキッカー」を襲名するにふさわしい逸材が突如として登場しました。
初代DREAMウェルター級王者、Marius Zaromskis/マリウス・ザロムスキーです。
レミギウス・ヴァラビーチェスやレミギウス・モリカビチュスなどを輩出したリトアニア出身の「バルトの殺し屋」は、イギリスで大活躍の後にDREAMウェルター級トーナメントに招聘され、殆ど無印で日本初登場。
まずは四月の一回戦で池本誠知に圧倒的な攻撃力の差を見せて完勝。この試合が、これまでのキャリア唯一の判定決着です。
この池本戦の完勝でベスト4となっても、マリウスの優勝を予想した人間はほっとんど、いませんでした。
そして、7/20のDREAM 10における4人掛けのワンナイト決勝トーナメントで世界中の格闘技ファンを「あ!」と言わせます。
準決勝で桜井マッハ速人を左ハイ、決勝でジェイソン・ハイを右ハイで蹴り倒し、「一晩で二試合、ハイキックでKO勝ち」の快挙達成です。この記録は、この日以前の私の記憶にはありません。アーツでもパンチと膝でのKOを除外して一晩で二試合、ハイキックで決めたことはないと思います。
そして、最近の10/25のDREAM 12でも1R、19秒、左ハイで秒殺KO勝ち。
ここ三試合を左、右、左、のハイで決めているのです。試合でKOできるハイキックを左右、蹴れる選手など世界中でマリウスだけでしょう。
アメリカの動画サイトは、「現在、アメリカの格闘技ファンでマリウス・ザロムスキーを知っているのはハードコアなファンの中でもハーデストな連中だけだが、彼が今回のような勝ち方を今後、続けていけば、我々はその存在をすぐに知ることになるだろう」と紹介しています。
実際、同じような決め方をあと二、三試合やらかしたら、UFCが黙ってないでしょう。
ハイキックの切れ味は今のままで、穴のないコンプリート・ファイター化したら、UFCのウェルター級王者、GSP(ジョルジュ・サンピエール)との試合、強烈に観たいもの!
ちなみに私の極私的、アーツとクロコップのベスト・ハイキックは、
アーツ:K-1 Grand Prix 1998 決勝戦、対アンディ・フグのKO勝ち
クロコップ:K-1 Grand Prix 1999 一回戦、対マイク・ベルナルドのKO勝ち
です。

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