ほんの数年前のPRIDE全盛時代、日本は総合格闘技の先進国、格闘技興行のメッカとして君臨していました。
世界中のファイター達が日本を目指し、PRIDEで闘うことが夢、と語りました。
しかし、UFCとSpike TVが放ったTUFという起爆剤によってUFCが一気に巨大化し、UFCを運営する会社ZUFFAが、PRIDEを買収するまでに至りました。それが2007年春、二年半前の話しです。
結果的に、ズッファ体制でのPRIDE興行は一度も行われないままにPRIDEは消滅。UFCが総合格闘技最大手の独占盟主として君臨しました。
PRIDE崩壊後はDREAMと戦極の二つのプロモーションが日本の二大メジャーとして今日まで軽・中量級メインで日本の総合を牽引しており、アメリカのコアなファンにもHD Netと格闘技動画サイトで熱く視聴されています。
元々、日本の総合の老舗は修斗とパンクラスなのですが、PRIDE全盛時代には、修斗かパンクラス、そしてDEEPのチャンピオンベルトがPRIDE出場への通行手形、という状況になっていました。この状況は、PRIDEがDREAMと戦極に変わった現在も続いています。
しかし、この一年で状況は大きく変わってきています。
まず、初代DREAMミドル級王者となったゲガール・ムサシが減量苦を理由にタイトルを返上した後、StrikeForceと契約。
そして空位の王座決定戦を闘ったジェイソン・ミラーとホナウド・ジャカレイもStrikeForceと契約。
StrikeForceはUFCと違い、独占契約ではなく、DREAMと提携関係にあるので、その三人が、これからも日本で試合をする可能性はありますが、彼らの足元は完全にStrikeForceに向いています。昨日のStrikeForceシカゴ大会でゲガール・ムサシと対戦したラミュー・ソクジュも同様です。
とにかく、通常よりも格段に大きくなる番組制作費がギャラとして選手に還元される大晦日の興行以外では、日本はギャラの面でアメリカに水を開けられてしまいました。
よりよい待遇が整備された環境に強豪が集うのは自然の摂理で、選手達が、待遇面が良く、より強いライバル達がひしめく場所を目指すのは当然のことです。
しかもアメリカの場合、日本のように視聴率至上主義から生まれる訳の分からないマッチメイクや競技上の説得力のない選手の連続登用がありませんから、MMAに誇りを持つ者が競技性重視のアメリカを目指す気持ちも理解できます。
私が天上の神のお陰で、前UFCミドル級王者、リッチ・フランクリンと話す機会を得た時、元・メジャーリーガーのホセ・カンセコが日本でMMAデビューしたことの感想を訊いてみましたが、リッチはこう言いました。
「俺がもし滅茶苦茶、ベースボールがうまくて、さらに数ヶ月、集中して練習をしたとしてもMLBの試合に出してもらうことはまずないだろうね。日本のMMAには日本のやり方がある訳だから非難するつもりは全くないけど。」
しかし、例えばミルコ・クロコップやエメリヤーエンコ・ヒョードルのように、日本が発掘し、日本が育てた選手が、よりよい条件を求めてアメリカに行ってしまうのは、かなり悲しい。引き止められない日本の現状が歯がゆい。
今回、とにかく衝撃的だったのは初代DREAMウェルター級王者、マリウス・ザロムスキーのStrikeForce移籍です。
ニュースを見た時の私の感想は「ええ!もう?」です。
せめて一回、防衛戦やってくれよ(笑)。
この移籍に伴い、ベルト返上、残った選手で新王者決定戦となると、日本のメジャーのチャンピオンベルトが世界のメジャーへの通行手形、日本のメジャーのタイトルマッチは世界のメジャーへの登竜門ということになってしまいます。
これから先、一番、恐いのはDREAMライト級王者、青木真也がベルトを返上して念願のB.J. Penn戦を実現させるべくUFCと複数試合契約を結んでしまうこと。
こうなったら、完全に日本の総合はアメリカのファームになります。
それはそれで、もしもUFCが毎月のように日本でイベントを開催してくれたら楽しめちゃうのですが。
それにしても、マリウスの移籍は早すぎる。我々日本の総合ファンは、これから大いなる期待と愛情を持ってスーパースターに育てていこうと思ってたのに。
マリウスに告ぐ。ドラゴンボールのコスプレでの入場は日本でも寒かったけど、アメリカではもっとウケねえぞ(笑)。

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