私はフィラデルフィアの芸大で油絵を描いていたような人間なので、先生方はハリウッドのブロックバスターよりも芸術性の高い映画を好んで観る人が多く、私が結構、なついていた、B先生というオッサンは外国映画もかなり観ていました。
アメリカで日本映画の代表的監督といえば何と言っても黒澤明と小津安二郎の二人ですが、私は正直に言って、この大学に入るまで黒澤も小津も一本も観たことがありませんでした。
ある日、B先生と映画の話しをしている時に小津監督作品の話しになり、私が正直に一本も観たことがないと白状すると呆れ返られました。
You mean you're a Japanese who's never seen any Ozu movie? That's just unbelievable. I mean, shame on you.
そこまで言うかよ、てなもんですが、当時の私と同じ若者が目の前に現れたら、私も同じことを言うでしょう。もっと激しく言うかもしれません。
という経緯があって、いよいよ小津作品初挑戦となる訳ですが、一本目はB先生に「絶対に観とかなきゃあかんよ」と指導を受けた「東京物語」でした。
世界的評価を受けている作品ですから当然、見応えがありましたが、私にとって強く印象に残ったのは、広島の尾道から東京までの移動の過酷さと、笠智衆夫妻の孫達の我が儘放題ぶりを一言も叱らない親達への苛立ちでした。
その後、フィラデルフィアで黒澤、小津作品は観て観て観まくりましたが、全てアメリカで配給されているビデオかDVDのレンタル、または映画館上映なので、常に英語字幕付きです。
黒澤の「用心棒」で、「何でえ!?」が、"What's up !?"だったり、
「八月のラプソディー」で、「それはマズいなあ」が、"That's awkward"だったりしたのは特に印象に残ってますが、小津作品独特の静かなクドい台詞まわし、例えば、
「そうかなあ」
「そうですよ」
「そんなもんかなあ」
「そんなもんですよ」
「そうかい」
「そうですってば」
みたいなのは、字幕制作者も苦労しただろうなあと思います。
かつて村上春樹のエッセイで、小津作品をドイツでドイツ語吹き替えで観た話しがありましたが、かなりおもしろかったです(笑)。

そう言えば、日系人の家に遊びに行った時、
「七人の侍」をみせられ、長い日本語のセリフの英語字幕が「Yes」だけだったことを思い出しました(^-^;
投稿情報: Kazu | 2009/10/01 05:14
「七人の侍」を一本、全部?
あれ、ビデオだと二本組の大作よな(笑)。
俺、落合信彦のエッセイの、"Amadeus"の本質は「七人の侍」といっしょだ、っていうの結構、好きなんだよね。
投稿情報: たしん | 2009/10/01 05:30
7人の侍・・長かったです。途中で見るのやめてくれたから助かったけど
日本語を話せないダンナに解説せねばならず、
相当、英語度胸を鍛えられました。。(^-^;
そのあとは何故か「氷川清」とコンサート(リサイタル?)を見せられて
「何でみんな曲の間に「KIYOSHI!」と叫ぶんだ?」
と聞かれて閉口しそうになりました(^-^;
そんな文化の違いもあるのですね。
投稿情報: Kazu | 2009/10/04 00:44
悲惨だなあ(笑)。
俺だったら「三船の咆哮」をやり続けるな。
氷川きよし、って演歌のプリンスの前髪が局地的に長いニイちゃんでしょ。
リサイタルだな。
投稿情報: たしん | 2009/10/04 03:54