UFCの大会は毎回、必ず、土曜に行われ、前日金曜の午後にはタダでファンを入れて公開計量が華々しく一つのイベントとして行われます。
UFCに出場資格を得るような選手達は、そんじょそこらの腕自慢とはレベルが全く違うので体もハンパじゃないのですが、パンツ一丁で体重計に乗るこの日は、一番、絞りに絞ってある状態なので、みんな、腹筋ボコボコで、とんでもなくヤバいことになっています。
総合格闘技の場合、体重の階級分けは世界的に統一されている訳ではないので各プロモーションごとにバラバラですが、目安としては、アメリカのUFC/WECか、日本の修斗の階級制が標準です。
今回は先日のUFC99に絡めて書くので、UFC/WECの階級制を紹介しましょう。
現在は265パウンド以上のスパーヘビー級の試合は全く行われていないので、バンタムからヘビーまでの7階級となります。
UFC(Ultimate Fighting Championship)とWEC(World Extreme Cagefighting)は、いわゆる兄弟会社で、兄貴分のUFCがライト級からヘビー級までの中量級ー重量級の5階級の試合を行い、WECがバンタム級からライト級までの、軽量級ー中量級の3階級を受け持っています。ライト級だけが両方のプロモーションに股がっている訳です。よってライト級はそれぞれが認定した二人の王者が存在します。
-135 lb. / 62 kg Bantamweight バンタム級( 現王者 Miguel Torres )
-145 lb. / 66 kg Featherweight フェザー級( 現王者 Mike Brown )
-155 lb. / 70 kg Lightweight ライト級( 現王者 UFC/B.J. Penn, WEC/Jaime Varner )
-170 lb. / 77 kg Welterweight ウェルター級( 現王者 Georges St-Pierre )
-185 lb. / 84 kg Middleweight ミドル級( 現王者 Anderson Silva )
-205 lb. / 93 kg Light Heavyweight ライトヘビー級( 現王者 Lyoto Machida )
-265 lb. / 120 kg Heavyweight ヘビー級( 現王者 Brock Lesnar, 暫定王者 Frank Mir )
265パウンド以上はスーパーヘビー級となり、ティム・シルビアやブロック・レスナーなどは絞って265パウンド以下のヘビー級で試合をしています。
現代の常識では、選手の体重は、減量開始前のいわゆる通常体重では自分の階級の一つ上の階級の制限体重を少し上回るくらいです。70キロの契約体重で試合をする選手は大体、80キロを少し切るくらいです。試合前日の計量までに減量し、あとは出来るだけ相手より重くなるよう戻す、というのが善し悪しは別として、競技として成熟したMMAの現行の流れ、常識です。
UFC99のメイン、ヴァンダレイ対フランクリンの一戦は、滅多にない "Catch Weight" という、制定されている階級とは別の契約体重を設ける試合形式でした。
これは205パウンドという階級での闘いに限界を認めたヴァンダレイのミドル級転向への準備の試し斬りです。というのは、ヴァンダレイは元々、205パウンドへの減量でも苦労しており、185パウンドまで体調を崩さずに落とすとなると相当、試合間隔が開いてしまうので、まずは195パウンドでのワンクッションの試合が浮上した訳です。
これに、逆の道であるミドル級からライトヘビー級への転向を完成させている途中の元・ミドル級王者、リッチ・フランクリンが協力した、というのが、今回のキャッチウェイト・ルール実現の背景です。
もちろん、大スター故に認められた特例中の特例です。
さて、UFC99の計量の前日の記者会見、すなわち試合の二日前の時点で二人の体重はともに205パウンドでした。約24時間で10パウンド(約4.5キロ)落とす訳です。これは、かなり順調で無理のない数字と言えます。
そして計量を二人とも194パウンドで一発パス。そこから約30時間、経った試合時にはヴァンダレイの体重は210パウンドでした。フランクリンも同じぐらいだったと思います。
ちなみにフランクリンはキャリア初黒星を喫した2003年大晦日のヘビー級契約のリョート戦では217パウンドで闘っています。
要は、格闘技の減量というのは「絞ってリバウンド」の繰り返しなのです。「落とす」と同じくらい、「戻して相手より少しでも重く有利な立場に」という考えが重要視されます。
しかし、短期間に体重を増減させることが健康的であるはずがなく、若い頃から長くレスリングかボクシングをやってて減量と常に付き合ってきている選手でも体にも精神的にも負担はかかります。
これに対する問題提起として、Cage Forceという、UFC同様、リングではなく金網を試合場として使用している日本の大会の主催者、久保豊喜社長が実にユニークな新ルールを考案、採用しました。
それはどういうものかというと、試合前日の計量の他に当日の試合前にも再計量を行い、もし一階級上の体重を越えていたらペネルティーを課す、というものです。要するに過ぎたリバウンドを禁止する訳です。
このルールがこれから先、世界中に広まるかどうかは別にして、そういうことを考えて実際に採用した人がいるというのは実におもしろいことです。
私が今まで見た数字の中で一番、大きく「戻した」のは、ウェルター級絶対王者、ジョルジュ・サンピエールの前日計量170パウンド、きっかりクリアー → 試合時187パウンドです。これは一階級上のミドル級の制限体重を越えてしまっているので、現在のCage Forceルールなら、ペナルティーとなります。
いよいよ来月に迫った一大記念大会、UFC100でサンピエールが対峙する最強の挑戦者、チアゴ・アウベスも、苦労して落として、もの凄く戻すタイプとして有名で、実際、減量失敗の体重オーバーでペナルティーを受けたこともあります。
二人の、試合二日前→前日→当日試合前、の体重の推移には滅茶苦茶、興味があります。
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